2013年6月26日水曜日

香り

[記者・藤原]

香を聞くという。甘い、苦い、辛い、酸い、しおからい、の5つに聞き分けるらしい。これほど香りに敏感な種族も珍しいのではないか。王の宮殿は屎尿に塗れ幾度となく場所を移し、ために刺激のより強い香りの水を用いたどこかの種族とはもとから違うのだ。信長は至宝の香木一片を武力で奪取したともいう。すれ違って束の間、微かに漂ってくる残り香にえも言われぬ甘みを聞いたのも今は昔。汗ばむ候、近寄るまえから襲ってくる若い女性の匂いの多くに、香りの味蕾を麻痺させられるのはわたしだけだろうか。


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