編集部は2階にあるのですが、階段を上がったところにこの子がいて(鏡の前にいます)、時々「あれは何?」と聞かれます。「なんでうつむいてるの?」「怒られて立たされてるの?」とか。
いえいえ、そうじゃなくって。
この子の手には、ほら、セミが。
「ぼく、何持ってんの? あ、セミ?! ええなー。おばちゃんにちょうだい!」
あわてて首をふる男の子。
「あかんのん? そうかー。ぼくの宝物やねんな!」
こくん、とうなずく男の子。
というシーンだと思います(想像)。
タイトルは確か「宝物」(たぶん・・・)。
泉北の美術を育てる会発足の中心となり、長く事務局、その後2代目会長を務めた岩井久子さんの彫塑作品です。
岩井さんの作品はこんなふうに、そのほとんどが子どもたち。元小学校の先生でその後も塾で教えたり、子ども達対象のイベントに携わったりもしていた岩井さんの、愛情がにじみ出ていると思います。
今年は大きな地震がありましたが、1995年の阪神大震災のとき。
出社してみたらこの子が倒れて、なんと首が折れていたのです。あわててみんなで接着剤で修復! なんとかくっついたものの傷跡が残ってしまいました。
岩井さんに知れたら怒られそうで、そのことは言いませんでしたが・・・。
岩井さんは2007年に惜しまれながら亡くなりましたが、泉北の美術を育てる会はその後も活動を続けています。来年の泉北展は30回の記念展になるそうです。(情報センター・Y)